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2016年10月12日水曜日

「OpenWeatherMap」の "Weather condition codes" 和訳についての雑感

「ぱくたそ」より

 『Glaeja』ver.4.7.0から、天気情報の取得先として「OpenWeatherMap」が追加されました。「OpenWeatherMap」では、天候を表す "Weather condition codes" という番号と、その内容を表す文が用いられています。当然それらは英語ですので、『Glaeja』では日本語訳も用意しました。このエントリでは、その和訳についていくつか述べたいと思います。



予備知識

日本の天気予報における「テロップ番号」


 『Glaeja』で採用している「ひとくち予報 in Feed」に限らず、日本国内の多くの天気予報サイトでは、その予報文は「晴れ時々くもり」や「雨のち晴れ」など共通した文言が使用されています。これは、「天気予報のテロップ番号」というものを参考にしているためです。

 気象庁が発表する「府県天気予報文」には、各地域・各日に(200)のような番号が振られています(下図)。

府県天気予報文の例:国際気象海洋(株)より引用
http://www.imocwx.com/yohou/yhd_2.htm

 これが「天気予報のテロップ番号」です。この番号は全部で121種類あり、そのそれぞれに「晴れ時々くもり」や「雨のち晴れ」などの文言が割り振られているわけです。「時々・ときどき」「後・のち」など表記ゆれはありますが、各社どこも大体同じ表現になっています。

 ※ 稀に【302 : 雨時々止む】という趣深い文言を「雨時々くもり」などというつまらない文言に変えてるところもありますがw

 ちなみに、この「天気予報のテロップ番号」にどういう文言を割り当てるのかについて、ネットで「気象庁 テロップ番号」等でググると色々と引っかかってはくるのですが、気象庁が定めたものは見つけられませんでした。どうも、昔に使われていた文言をずっと引き継いで使っているようです。

「OpenWeatherMap」と国際式天気図記号


 上記した「天気予報のテロップ番号」は、あくまでも日本国内で使用されているもので、「OpenWeatherMap」は当然それには従っていません。「OpenWeatherMap」の “Weather condition codes”は、「国際式天気図記号」で使われている表現に準拠しているようです。

  国際式天気図記号は 00 ~ 99 の100種類が定められおり、それぞれに図記号と文言が割り当てられています(下図、文言の日本語表記はWikippedia参照)。

国際式天気図記号の一覧
http://craigsweb.net/mystuff/WxSymbols.gif

 「OpenWeatherMap」の “Weather condition codes”を和訳するのであれば、「国際式天気図記号」の英和訳を使えば良いかというとそうは簡単ではなく、例えば「着氷性の雨」とか「単独結晶の雪」などなかなか見慣れない単語のオンパレードですので、もうちょっとくだけた訳が必要かと思います。


“Weather condition codes” の和訳について

「雷雨」と「雷」


 “Weather condition codes” では、[201 : thunderstorm with rain]と[211 : thunderstorm]のように「同時に雨が降っている」ものが明確に分けられています。つまり「雨を伴わない雷」というものの存在が認められている、ということです。

 それに対して、気象庁の「天気予報のテロップ番号」で雷を含むものは、

  • 108 : 晴れ一時雨か雷雨
  • 119 : 晴れのち雨か雷雨
  • 123 : 晴れ山沿い雷雨
  • 125 : 晴れ午後は雷雨
  • 140 : 晴れ時々雨で雷を伴う
  • 208 : くもり一時雨か雷雨
  • 219 : くもりのち雨が雷雨
  • 240 : くもり時々雨で雷を伴う
  • 250 : くもり時々雪で雷を伴う
  • 350 : 雨で雷を伴う
  • 450 : 雪で雷を伴う

と、必ず「雨」か「雪」と一緒に現れるものしかありません。ここらへん、お国柄というか地域性が垣間見えて面白いなぁと思います。

 「国際式天気図記号」では、[17:雷電。観測所に降水がない][95:観測時に弱または並の雷電。雨、雪またはみぞれを伴う]のような使い分けがされているようです。
 この「国際式天気図記号」の日本語表記に則れば、「(雨・雪を伴わない)雷電」「雷雨」「雷雪」みたいな和訳が考えられるのですが、イマイチですね。『Glaeja』では、“thunderstorm“ を「雷」、“thunderstorm with rain“ を「雷雨」と訳し分けました。

“drizzle” と “rain”


 “Weather condition codes” では、[301 : drizzle]と[501 : moderate rain]のように “drizzle” と “rain” が存在します。

 アメリカでは、“Federal Meteorological Handbook”において「直径が0.02インチまたは0.5mm未満を“drizzle”とし、それ以上を“rain”とする」と定められています(「Appendix A -- Glossary」より)。また、日本でも同様に、気象庁が「微小な雨滴(直径0.5mm未満)による弱い雨を『霧雨』とする」と定めています(参照)。

 『Glaeja』でも “drizzle” を「霧雨」、“rain” を「雨」としています。

 さて、“Weather condition codes” には[311 : drizzle rain]というものがあります。これは多分、

  • 直径が0.5mm未満の雨粒のみ降っている → “drizzle”
  • 直径が0.5mm以上の雨粒のみ降っている → “rain”
  • 直径が0.5mm未満の雨粒と
    それ以上の雨粒が混ざって降っている → “drizzle rain”

という違いではないかと考えています。国際式天気図記号にも[58 :霧雨と雨、弱い(drizzle and rain, slight)]というものがあります。

 この “drizzle rain” 状態を上手く一言で表現する日本語は存在しないので、『Glaeja』では仕方なく「雨と霧雨」という文言にしました。

雨の強さに関する表現について


 “Weather condition codes” では、雨の強さは、

  • 500 : light rain
  • 501 : moderate rain
  • 502 : heavy intensity rain
  • 503 : very heavy rain
  • 504 : extreme rain

と、5段階に分かれています。それに対し、気象庁による分類では、

  • 弱い雨 (1時間雨量が3mm未満の強さの雨)
  • やや強い雨 (1時間に10mm以上20mm未満の雨)
  • 強い雨 (1時間に20mm以上30mm未満の雨)
  • 激しい雨 (1時間に30mm以上50mm未満の雨)
  • 非常に激しい雨 (1時間に50mm以上80mm未満の雨)
  • 猛烈な雨 (1時間に80mm以上の雨)

の6段階に分けられています。「大雨」は「非常に激しい雨」や「猛烈な雨」のことを指し、「大雨警報」のように使われます。また「小雨(数時間続いても雨量が1mmに達しないくらいの雨)」は、通常「弱い雨」に含まれます。

 ……段階数が合ってねぇw

 そもそも海外での雨の強さの表記基準はどうなんだろうと、英語版Wikipediaで “Rain” を調べてみると、アメリカ気象学会やイギリス気象庁の定義では、

  • light rain : 1時間雨量が2.5mm未満の強さの雨
  • moderate rain : 1時間に2.5mm以上7.6もしくは10mm未満の雨
  • heavy rain : 1時間に7.6mm以上の雨、もしくは10mm以上50mm未満の雨
  • violent rain : 1時間に50mm以上の雨

 ……こっちは4段階かよ、しかも “violent” とかねぇよw

 というわけで、『Glaeja』では、
  • 500 : light rain → 「小雨」
  • 501 : moderate rain → 「雨」
  • 502 : heavy intensity rain → 「強い雨」
  • 503 : very heavy rain → 「非常に激しい雨」
  • 504 : extreme rain → 「猛烈な雨」

としました。

“freezing rain”


 “Weather condition codes” には、[511 : freezing rain]というものがあります。国際式天気図記号では[66 : 弱い着氷性の雨(slight freezing rain)]等に相当するものです。

 ※「OpenWeatherMap」の天気データを使用するアプリで、これを「非常に冷たい雨」と訳しているものがあるようですが違いますね(どれとは書きませんが)。

 この「着氷性の雨」には『雨氷』というカッコいい日本語があります。

 どういうものかというと、「過冷却状態の液体で雨粒が降ってきて、地面等の物体に接触するとその衝撃で凍結し個体の氷になる」というものです。

“sleet” と「みぞれ」


 “Weather condition codes” には、[611 : sleet]というものがあります。国際式天気図記号では[79 : 凍雨(ice pellets (sleet U.S. difinition))]に記述がみられます。

 「OpenWeatherMap」の“Weather condition codes” を日本語に訳しているサイトやアプリでは、これを「みぞれ」としているものが多いです。しかし、“Weather condition codes” には[616 : rain and snow]が、また国際式天気図記号には[68 : みぞれまたは、霧雨と雪、弱い(rain or drizzle and snow, slight)]というものが別にあるのです。この原因は、多くの英和辞典では「sleet : みぞれ」と書かれてしまっているからです。

 “sleet”は、イギリス英語とアメリカ英語で指す気象現象が異なっており

  • イギリス英語 → rain and snow mixed
  • アメリカ英語 → ice pellets

となっています。

 「みぞれ」は、気象庁の定義によると「雨まじりに降る雪。または、解けかかって降る雪」ですので、まさに「イギリス英語の “sleet”」ですね。

 ですが、「OpenWeatherMap」はアメリカの会社ですし、国際式天気図記号でも “sleet” は“ice pellets” なのです。よって『Glaeja』でもそれに倣い「凍雨」と訳しています。

 ちなみに、『凍雨』とは「雪が上空で一度溶けて、それが降ってくるまでの間に凍結することで、透明または半透明の氷が雨のように降る」気象現象を指すそうです(『霰(あられ)』とは形成過程が異なります)。

……ややこしいですね~

“mist”, “smoke”, “haze”, “fog”


 “mist”, “haze”, “fog”、これらを英和辞典で調べると、そのどれも「もや、霧」と出てきて区別がつけられません。

 気象庁の定義では、

  • 『霧』: 微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態
  • 『もや』: 微小な浮遊水滴や湿った微粒子により視程が1km以上、10km未満となっている状態
  • 『煙霧』: 乾いた微粒子により視程が10km未満となっている状態

のように、視程と原因(水滴・微粒子)によって名称を使い分けています。

 イギリス気象庁の定義では、

  • “fog” : 微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態
  • “mist” : 微小な浮遊水滴により視程が遮られるが1km以上ある状態
  • “haze” : 乾いた微粒子により視程が遮られる状態

 また、他には、

  • “fog” : 視程が1km未満
  • “mist” : 視程が1km以上2km未満
  • “haze” : 視程が2km以上5km未満

とする分類もあるようです(出典が厳密ではない気もしますが)。

 これらを踏まえ、『Glaeja』では、

  • “fog” → 『霧』
  • “mist” → 『もや』
  • “haze” → 『煙霧』

としました。

 ”smoke” に関しては、気象現象としての厳密な定義というものが見当たらず、多分「“haze”と同じように水滴ではない微粒子が原因で、“haze”よりは濃いんだろうなぁ」と思うのですが、これに該当する良い日本語を思い当たりませんので、しかたなく『煙』としました。

「晴れ」と「曇り」の間


 “Weather condition codes” の800番台は、

  • 800 : clear sky
  • 801 : few clouds
  • 802 : scattered clouds
  • 803 : broken clouds
  • 804 : overcast clouds

となっています。

 これらのうちの「scattered clouds」と「overcast clouds」は、「国際気象通報式」に定められる9段階の「雲量」の英語表現のうちの「2」と「8」に表記がみられます。

 ここから、「cleae sky」が雲量「0」、「few clouds」が雲量「1」、「broken clouds」が雲量「2~7」と考えることができます。

 アメリカ海軍の上空気象観測兵教本「Aerographer’s Mate: Module 1 - Surface Weather Observations」には、雲量に関して、

  • SKC (sky clear) : 0/8
  • FEW (trace) : >0/8 - 2/8
  • SCT (scattered) : 3/8 - 4/8
  • BKN (broken) : 5/7 - 7/8
  • OVC (overcast) : 8/8

という記述がみられますので、どちらかというとこっちの解釈なのでしょう。

 さて、日本において気象庁の定義では、雲量を10段階で表し、

  • 雲量 0/10、1/10 : 快晴
  • 雲量 2/10 ~ 8/10 : 晴れ
  • 雲量 9/10、10/10 : 曇り

と、非常に雑な分類になっています。

  • 800 : clear sky] → 『快晴』
  • 801 : few clouds] → 『晴れ』
  • 804 : overcast clouds] → 『曇り』
は良いとして、[802 : scattered clouds]と[803 : broken clouds]は、仕方なく『千切れ雲』『雲がち』としました。日本語には雲の状態を指す言葉はあっても、雲量を指す言葉がないんですよね。

“Weather condition codes” 900番台について


 『Glaeja』では日本語訳をしませんでしたが、“Weather condition codes” には900番台があります。

  • Group 90X : Extreme
    • 900 : tornado
    • 901 : tropical storm
    • 902 : hurricane
    • 903 : cold
    • 904 : hot
    • 905 : windy
    • 906 : hail
  • Group 9xx : Additional
    • 951 : calm
    • 952 : light breeze
    • 953 : gentle breeze
    • 954 : moderate breeze
    • 955 : fresh breeze
    • 956 : strong breeze
    • 957 : high wind, near gale
    • 958 : gale
    • 959 : severe gale
    • 960 : storm
    • 961 : violent storm
    • 962 : hurricane

  「Group 90X : Extreme」は『極端な天候』とでも言うのでしょうかw [901 : tropical storm(熱帯性低気圧)]や[902 : hurricane(ハリケーン)]に混ざって[906 : hail(雹:ひょう)]があります。アメリカの雹はデカいですからねぇ。

 「Group 90X : Extreme」はすべて『ビューフォート風力階級』にある風速の表記です。これの日本語訳がなかなかイカしてるので是非ご覧になってください。



 以上、長々と書いてしまいましたが、「OpenWeatherMap」を『Glaeja』に組み込むにあたり、これらの日本語訳を調べるのに1週間くらいかかってしまいました(ヽ´ω`)

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